蔵元便り 柚野の里から

2009年05月

ありがたみ

4月の半ば、お陰様で日本酒造りが無事に終了しました。岩手へ帰った畑福杜氏達を追いかけるように、仕事で東北の宮城県へ行ってきました。切符を買って仙台から東北本線に乗車し、ちょうど満開の桜が線路際に咲き誇る中をガタゴトと行きました。

山間のトンネルをくぐったと思えば、見渡す限りの広い田んぼの真ん中を走り、そこを更に進めば、真っ青な海にくっきりと松島が車窓に浮かぶ、絶景まばゆい、浮世絵のように心洗われる綺麗な風景でした。
日本らしい雄大な風景を見ると、人は本当に元気が出てくるものですね。
弊社へ来られる遠方からのお客様も、大きな富士山を見て、「うわぁー富士山だぁ!」と、初めて松島を見た私のように、感激して帰られる方が多いのですが、改めてその理由に納得しました。近くに、あたりまえのようにあると、そのありがたさに全く気付かないなんて・・・。少し離れた時に、気が付くように、神様が人を作ったんでしょうかねぇ。
人は、普段接しない雄大な風景や、その季節しか味わえない景色や味覚を楽しめるようになっています。それは人が想像力を有し、現在、過去、未来を想像する能力が発達している、唯一の哺乳類だからだそうです。
そして、雄大な風景を見ると、脳が刺激されて感情が向上し、想像力がもたらす不安感からも開放されるそうです。皆さんの近くにも、こうしたとっておきの場所を覚えておくと、いいかもしれませんね。


富士錦の眼前に、ドスンと鎮座する富士山は、こんな風に人の感情にも役立っていますが、何十年もかかって、蔵の仕込水として沸いてくるキレイな湧水は、人が生きるうえでも必要で、美味しいお酒を醸すうえで、とても大切なものです。

小さい頃には思わなかった富士山のありがたみを、改めて感じつつ、車窓の風景を眺めながら帰って来ました。
さて、皆さんは、ゴールデンウィークに何処へお出かけしますか?