蔵元便り 柚野の里から

2007年09月

挑戦

今年は38度を超す暑さが、この柚野の里にもやってきました。
青い田を渡る風も熱風と化し、かげろうがアスファルトを揺らしています。
皆様いかがお過ごしでしょうか?この時期の風物詩である炎天下での甲子園、見応えがありましたね。常葉菊川の爽やかなプレーがこの夏の暑さを、束の間忘れさせてくれました。
今年、富士錦では夏の新たな試みとして、お茶の焼酎に挑戦しました。静岡県といえば、なんと言っても「お茶」、ですよね。この静岡の代名詞とも言える「お茶」の焼酎を、なんとか商品化出来ないかと、ここ数年試行錯誤してきましたが、今年ついに、実現しました。
実は、お茶の焼酎を造るのは、非常に難しいのです。というのも、ご存じのようにお茶には「カテキン」が含まれており、抗菌作用があります。発酵微生物の酵母は、これにより死んでしまうことがあり、そこの見極めが非常に難しいのです。
失敗を繰り返しながら、この問題点を克服し、やっとの思いで完成に漕ぎ着けることが出来ました。

試行錯誤が長かった分、販売を担って下さる酒販店様、問屋様の思い入れも深く、より良いものを作り上げようという相互の気持ちが伝わり合って、ひとつの形となり、新製品発表が出来、造り手として、こんなに嬉しいことはありません。あとは、飲んでいただく皆様からどんな評価をいただくか・・・。
今から十二年前、村おこしの観点から始まった富士錦のフルーツワイン造り。それが、今年は焼酎にも広がって、地場の特産品の黒米や芋・お茶を原料に、特色ある焼酎を造るチャンスに恵まれることになりました。ありがたい事です。
新しいことに挑戦する事は、期待と不安が入り乱れ、社内の雰囲気にも刺激を与えてくれました。
今年は、焼酎作りに精を出す社内の若手スタッフの額から流れる汗が、甲子園に負けず劣らず、爽やかな夏でした。