蔵元便り 柚野の里から

2011年09月

一足早い秋

夕方、日が暮れるのがグッと早くなりました。いつものように事務所を出ると、辺りはすでに真っ暗に・・・。思わず足早に家路につくここ数日。今年は秋も一足早め、ですね。
この夏は、いつもの夏とは違うと感じることが多い夏でした。電力不足による節電と猛暑との戦い。体力を備える大切さを痛感しました。そして、日々流れる被災地の話題。お盆の頃に被災地で開催された鎮魂の花火大会の様子には胸が痛くなりました。それでも、人々は上を向き、空に祈っているような姿に心打たれました。
又、東北の高校生達も大活躍した、若さあふれる高校野球。真剣勝負の息を呑むような熱戦が清々しさを残しました。
そして、今日は、震災後初の水揚げが宮城県・気仙沼港にと話題になり、秋の味覚・秋刀魚の初水揚げに活気づく港の様子に、うれしくなりました。まずは、自分たちが復興しなくてはと地場産業が踏ん張って復活していく様子は、力強いの一言です。
又この震災で被災した酒蔵も、全て復活を見据えて動き始めています。地酒蔵の強い志を、感じずにはいられません。

こんな例年通りとはいかない日々の中、昨日、蔵の中で、例年通り「初呑み切り」の行事を行いました。猛暑の一夏を越した、タンクに眠る酒達の品質に変わりがないかをチェックする行事です。
秋に上質の酒を出荷するならば、この夏場の品質管理が重要です。富士錦では、この節電の夏、丹念に冷房のオンとオフを切り替えて対応しました。夜間に低めに温度設定をし貯蔵蔵を十分に冷やし、その冷気を利用して最需要期の昼過ぎは一度オフにして、気温4度を保ちました。
又この「初呑み切り」の行事から、毎年特に酒質の高い純米酒を選んで出荷する秋の人気商品「純米原酒・ひやおろし」の酒も決定しました。今年は、杜氏改心の作とも言える、香りの高い華やかな純米酒に軍配が上がり、現在、蔵ではその出荷準備に追われています。

秋の人気商品、純米原酒・ひやおろしは、9月8日(木)発売です。数量限定商品ですので、お早めにご予約をお待ちしております。
実りの秋、秋刀魚と共においしい秋を味わってください。ご予約は、最寄りの富士錦取扱店まで・・・。