蔵元便り 柚野の里から

2014年06月

歴史の価値

今月22日に、富士山が世界文化遺産となって1周年を迎え、市役所で行われた「富士山絆まつり」に参加してきました。華やかな鏡開きのセレモニーのお手伝いをし、大勢のご来場者と共に、世界遺産一周年を祝いました。

今年は、群馬県の富岡製糸場が新たに世界文化遺産に登録され、正式登録の一足前のGW期間には五万人の人が押し寄せ、ニュースを飾っていました。ニュースで見る富岡製糸場の建物は決して華美ではなく、内部の展示物も生産設備であって美術品などとは違う「工場」です。

最近のレジャーは多様化し、多くの人が「身近で、参加できて、落ち着いた、自分の身になる」消費を求め、確かなものが残る体験をしたいと志向し、そこに価値を求めているそうです。

歴史を感じさせる場所には、このような志向を満たすものが、確かに存在します。
富士錦にお見え頂いたお客様を、明治38年に建てられた酒蔵にお連れすると、皆さん歓声をあげられます。古い建物が持つ蔵の重厚感と並ぶタンクは、やはり迫力があります。 そして、この蔵の建て方は、酒造りがしやすいように、建物の中央に柱が無い構造を用いています。

これは、柱で屋根の重さを支えるのではなく、複雑に組んだ梁で柱の重さを両側の壁に分散して支える工法で、当時の大工達の技術力の高さを物語っています。
多分、現在はこのような複雑な建て方は出来ないだろうと言われていますが、この技法は、実は富岡製糸場も同じ技法で建てられています。
建物ひとつ、酒道具ひとつにも歴史があり、昔の人の立派な仕事を堪能できます。

 また、「父の日フェアー」では、多くの親子連れの皆様にご来場いただきました。
お子様達が、自分の思いをラベルに描いてお父さんにプレゼントする、アットホームなイベントです。
一生懸命ラベルを描くお子さん達の姿に、スタッフ一同、心洗われる6月でした。